毎年、この時期に「進学実績」を掲載しておりますが、これはあくまでも「卒業生の進学実績」です。卒業生の努力の賜物であり、塾が誇る実績ではないと思っています。しかしながら、入塾にあたり参考にされるのもまた事実であり、尋ねられることも多いので掲載しております。
ですので、「志栄館に入塾すれば、こういう高校に行ける」とは思わないでください。塾の影響など微々たるものであり、あくまでもその個々人の頑張りの成果です。
当然のことではありますが、いくら塾に通ったところで成績が全く上がらない子もおります。逆にうなぎ上りに上がっていく子もいます。最終的な進路に関しても、当初の成績では合格は到底考えられなかったような志望校に合格していく子もいますし、逆に残念な結果に終わる子もいます。それは全て生徒自身の行動の結果です。私たちにできることは、生徒たちが良い方向に向かえるように、できる限り環境を整えてあげること、正確な情報を提供すること、そして彼らのモチベーションの維持に努めることくらいです。
多くの方が「学習塾の実績」として卒業生の進路を見られますが、あまりおススメは致しません。というのは、そういった見方をされる結果として、ねじ曲がった進路指導が行われる可能性を高めるからです。
例えば、佐賀西合格者を増やす最も簡単な方法は、「生徒に佐賀西を受験させること」です。その子の資質や成績も、本人の希望さえ無視して、とにかく佐賀西を推す。そうすれば結果として、佐賀西受検者を増やすことができます。ひいては少なからず合格者数も増えるわけです。
例えば「志望校合格100%」を出し続ける最も簡単な方法は、「志望校を成績に合わせること」です。本人の意思にかかわらず、無謀な挑戦は避け、1ランク下の高校を受験させれば、合格率なんて簡単に上がります。
現実として、上記のような進路指導をする塾もあります。「本人の希望さえ無視して」「本人の意思にかかわらず」って部分に、そんなことが簡単にできるのかと疑問を持たれる方もいらっしゃると思いますが、おそらくそんなに難しいことではありません。情報の手に入りやすい世の中になったとは言え、それでも生徒たちに比べれば塾側は圧倒的な情報強者です。彼らに与える情報に手心を加えれば簡単だと思います。さらにはそれを繰り返し繰り返し言い続ける。「絶対受かる」「絶対落ちる」そういうことを聞き続ければ、否が応でもそう思えてしまいます。一種の洗脳ですね。
とまあ、少々過激なことを書きましたが、そこまで極端なことをやる塾は少ないと思いますよ。しかしながら、それが可能であるという事実は知っておいた方がいいと思います。
で、ここからは個人的な想いなのですが、僕は塾を開講するにあたって、「塾の実績」のための進路指導はしないと決めました。どんなに無謀であっても、どんなに余裕があっても、客観的な可能性を伝えるに留め、あくまでも最終的には生徒自身の希望に準ずる。だって生徒自身の人生ですから。
結果として、おそらくですがウチは不合格になる子は多い方だと思います。それによって恨まれることもあるかもしれませんし、評判を落とすこともあるかもしれませんが、まあいいじゃないですか。
個人的には、この仕事って子供たちの洗脳さえできてしまう危うい仕事だと思っています。少々大げさにも聞こえるかもしれませんが、規模が違うだけで、実際に戦中の日本で行われた教育や情報統制の結果、今現在のロシア国内の国民の様子や反応を見ていれば、個人の気持ちや考え方を左右するのはそれほど難しいことではないということは、明確だと思います。学校の先生も塾の先生も、保育園や幼稚園の先生だって、そういう無垢な子供たちを相手に教える・指導する立場の人間は、自覚をもち、絶対的に注意しておくべきことだと思うんです。だから、僕の個人的な考えや理想を押し付けることは極力避けたい、影響力はできる限り小さくしたいと思っています。
また、普段の学習・受験勉強に関しても、極力本人たちの意志や行動を優先し、強制は極力避けています。それは生徒の皆さんにも度々話しています。
高校入試は、ウチにとっては(子供たちが卒業していきますので)ゴールなのかもしれませんが、彼ら自身にとってはゴールでもなんでもなく、ただの通過点でしかありません。ですので個人的には、高校入試の結果そのものよりも、その過程で何を身に着け、血肉とするのかが重要だと思っています。
その最たるものが「自ら考え自ら行動することができるようになること」だと思うんです。これは社会人になれば当然必要とされることですね。しかしながら、最近は「指示がないと動けない」とかってよく言われますね。ソレっていうのは、子供が減り、家庭でも学校でも、あまりにも与えられ過ぎてるからなんじゃないかと思っています。アレをやれ、コレをやれと指示を出せば出すほど、本人が考える必要性はなくなりますし、やらなきゃいけないからやってるだけで、そこに自主性なんてものは無くなっていきますからね。
受験勉強って言っても、何をやっていいか分からないというのであれば、相談してくれれば何をどれくらいすべきかは一緒に考えます。多少無謀と思われるような志望校であっても、それは同じです。志望校変更を促すではなく、何をどれくらいやっていけば可能性が高くできるかを話します。受験前にも関わらず全く勉強してる気配がない子には、客観的に現状を伝えますし変化を促します。しかし、そのあとの行動は生徒の皆さん自身にしかできません。何が何でも行きたい高校があれば、勉強すればいいんです。ウチは自習室も無料で開放してます。受験前は土日祝日関係なしに開けてます。教材だっていくらでも準備しますし、貸し出します。質問だって授業時間外でも構いません。とにかく、自分が行きたい高校に合格することを最優先に行動さえしてもらえれば、いくらでもサポートします。ただし、強制はしません。行動が伴わなかった場合に、結果が出ないのは何も高校入試に限った話ではありません。行動はホドホドで結果が欲しければ、志望校を下げればいいんです。「それでいいの?」と確認はしても止めはしません。
受け取り方によっては、冷たく感じる方もいるかもしれませんが、受かるも落ちるも生徒次第、進学先は生徒の実績というのは、こういう考えがあってのことです。
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