まずは足元

この記事は約4分で読めます。

 塾業界では、割と2月、3月くらいから新学年の講座を始めるところも多くない。コレってのには、ちゃんと理由があって、ソレって言うのは集客的な都合なのよね。タイミングは小学校卒業・中学卒業(高校合格)・高校卒業(大学合格)と、その塾の形態によっていくつかあるわけだけど、どのタイミングにせよ、2月・3月ってのは「卒業」という名の、大量の常連客の同時退場が待っている。卒業学年の割合が多いところだと、売り上げ半減以上じゃないかな。だから、4月まで待たずに早めの段階で新規生徒の獲得をしておきたいってコト。偉そうに書いてるがウチだって例外ではない。早く新しい生徒に来て欲しい(切実) というわけで、よろしくお願いします(笑)

 利益を目的とする以上、それは当然なのだけど、「早く新しい生徒確保したいので、一足早く新学年ってことにしまーす!!」とは馬鹿正直には書けないでしょ?それで「先取り」ってのをウリとして書いてあったりすることも珍しくない訳だけど、ソレってどうなのかなってはチョイと思う。特にこの時期ってホントは時間的に余裕があっていろいろやれる時期なのに、新しく入ってきた生徒にイキナリ「先取り」って、なかなかだなと。だって、新しい生徒ってことは、その子の学力の把握すらままならない状況なワケで、もし遅れてるところがあるのなら今なら穴埋め可能かもしれない訳でしょ?そのチャンスみすみす逃して、先取りしてどうすんねんって話な訳ですよね。いや、もちろんその短期間で穴が埋まらないことだってあるし、学期途中で入ってきたりした子は、そんなこと言ってる間もなく合流させるしかなくなっちゃうので、それと同じっちゃ同じなんですけど。

 まあ、塾の方針は、その塾のことなので、そこに関してアレコレ言うつもりは無くてですね、そうでは無くて、今日は世の学生諸君の方に言いたいことなんですよ。

 春って学年が変わることがキッカケで「よし、頑張るぞ!」ってなる子が多いんですが、そこで闇雲に「先取り」に走っちゃうのは危険だぞ!ってことなんですよ。特に小中学生なら、先取りなんてぶっちゃけ一切要りませんからね。どうせ頑張るなら、現学年のものをしっかりと仕上げましょうね。

 こんなもの言い古された言葉ですけど、土台がグラついたまま、上に高い建物建てようとしたって、そんなものは倒壊が目に見えてるじゃないですか。まずは強靭な土台を作ることに専念した方が断然近道なんですよ。そのために現学年の学習内容の穴を今のうちにしっかりと塞いでほしいんです。

 塾講師が塾HPの中で言うのが適切なのかどうなのか…

 前学年や前々学年の学習内容に穴だらけの状態で、中3の夏なんかに「助けて~」って頼られてもですね、やはりやれることには限りがあります。どこぞのテレフォンショッピングのようにキレイサッパリ穴も目立たないどころか、むしろ始めよりキレイになっちゃって…なんてことは起こりませんから。当然ですけど、普通はちょっとずつちょっとずつしか成績は上がりません。ハウスメーカーに頼んで3日で家建ったら、逆に怖いでしょ?成績だって同じですよ。数年分の遅れを取り戻すには数年かかるんです。魔法みたいな言葉は信じない方がいいと思いますよ。

 いや、極稀にそれは見事な上昇カーブで成績爆上げ事案は起こっちゃうんですが、ソレは例外中の例外。そういうケースは、まず穴らしい穴がないこと、本人がこれまで全くと言っていいほど努力してこなかったこと、さらに入塾後見違えるほどの努力家になること・・・最低でもこの辺りは揃ってないと起こり得ません。普通の人は真似しようと思っちゃいけないんです。コツコツに勝る安全な道はありませんから。

 そして今、成績を上げる条件として第一に「穴らしい穴がないこと」を上げましたけど、この条件があるかないかは、非常に大きいんです。ゴリゴリのマッチョを目指そうと思った時、身長170cmで体重が30kgしかないヒョロヒョロな人と、体重70kg程度のいわゆる中肉中背の人、体重150kgのおデブちゃん、どの人が一番早く目標達成できると思いますか?筋肉をつける以前に、肉をつけなきゃいけない、もしくは不要な肉を削がなきゃいけないっていうのは、かなり遠回りになっちゃいますよね。はたして、ゴリマッチョになるまで、努力を続けられますかね?穴があるっていうのはそれと同じです。今学校でやってることをやる以前に、穴埋めを始めなきゃいけないんですよ。それが終わるまでは、成績アップなんて望めません。最初の辛く苦しい努力期間が倍増しちゃうんですよね。ソレって長続きしない(つまり、努力が陽の目を見ない)可能性が高くなっちゃう。

 なんでもそうですけど、新しく何かを始める時には、できる限りスムーズに始められる負荷の少ない方がいいんです。さらには、何かしらの目に見える結果が欲しい。長続きするコツですね。勉強も同じで、自分が楽にこなせる、十分理解できていると思えるところから始めるのが理想です。しかしながら、多くの子は「受験に向けて」勉強を始めます。そうなると「タイムリミット」というとてつもなく大きな制約ができるんですね。しんどいのが分かってて、難しいところから始めなきゃいけない、さらに努力しても結果の出にくい期間を長く過ごさなきゃいけない。大変ですよ。

 先取りは要りません。出来る限り穴を開けないように足元を固めてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました