今まさにアメリカ大統領選の開票が進んでますが、今年の中3生は本当にラッキーですね。日本でも衆院総選挙こそなさそうなものの、総理大臣が変わりましたし、アメリカでも大統領選。仕組みの違う二つの国の政治制度として、教科書でも紹介されているものが両方目の当たりにできる。これはラッキーと言わず何と言えばいいのでしょう。
ここからは2つの国の違いを少しだけ紹介したいと思います。
日本のリーダーの選び方
日本で採用しているのは、『議院内閣制』と呼ばれる制度。議院つまり国会と内閣が密接に関連しあっているのが制度の特徴です。
つい先月、安倍晋三総理の辞任に伴い、内閣総理大臣が変わりましたね。新しい現在の総理は、菅義偉(すがよしひで)総理です。そう、つい先月変わったのですが、皆さんのご両親など18歳以上のご家族が選挙に出かけたりしましたか?してないですよね。そう、日本の制度では、国民は総理を直接選ぶことはできないんです。日本では、国会議員の多数決で総理大臣を選びます。
補足として付け加えると、総理戦に「立候補する」なんてこともありません。国会議員が国会議員の中から選ぶんです。通常は、各政党は、自分の党から総理を出すべく、意見を揃えて自分の政党のリーダー(総裁とか代表とか各政党で呼び名が違います)に投票します。先月、日本で盛り上がっていたのは、安倍さんが辞任して、次の自民党のリーダーを誰にするかという「自民党総裁選」だったんですね。菅総理のほかに石破茂氏、岸田文雄氏が立候補してましたが、みんな自民党の人。現在は自民党が国会における多数党(最も議員数の多い政党)ですから、自民党総裁=総理大臣なわけです。だから、あんなに盛り上がってたんですよ。
「議院内閣制」では、国会議員が総理を選ぶので、衆議院総選挙の度に新たな総理大臣の選任が行われます。結果として変わらないこともありますが、毎回行われています。衆議院の任期は4年ですが、「解散」という制度があり、総理の権限で任期途中であっても衆議院を解散し、総選挙に持っていくことができます。国会側にも「内閣不信任の決議」があります。読んで字のごとく「内閣を信じて任せることができません」ってことですね。これが可決されると、内閣は総辞職(総理も各大臣も皆辞める。)か衆議院を解散しなくてはなりません。お互いにお互いをけん制しあう力関係になっています。ちなみにこれまで衆議院が任期満了したのは、日本国憲法下でたった1回きり。ほとんどのケースで途中解散となっています。
アメリカのリーダーの選び方
アメリカが採用しているのは『大統領制』という制度。こちらは国民が直接大統領を選べるシステムなんですね。そして、今まさにその国民が投票した大統領選の開票が進んでいる状況です。
国民が直接大統領を選べるシステムとは書きましたが、正確には違います。今現在開票されている選挙で決められるのは、各州の選挙人の投票先です。アメリカでは連邦議会の上院下院の議員数(上院は各州2名、下院は人口比に応じて1名~53名)を元に各州に選挙人が割り振られています。今日の結果を踏まえて各州の意思が決定され、その意思を元に「選挙人」が12月14日に大統領候補に投票するという仕組みです。ですから本チャンの選挙は12月14日ということになります。アメリカの州は日本の都道府県よりかなり強い権限を持っています。日本は日本という国を統治するにあたって、やりやすいように都道府県に分けたイメージですが、アメリカは全く反対で、独立した国のような各州が協力するために集まったのがアメリカという国ってイメージです。日本とは違った、アメリカという国の成り立ちや歴史があって、少々わかりづらいですが、このような制度が採用されています。
そして「州の意見は1つ」と考える州が多いため、今日の結果を元に選挙人が投票する先は各州1つに絞るケースが多いです。例えば、カリフォルニア州は人口が多く、55人の選挙人を抱えています。今回はバイデン氏勝利と伝えられていますので、このカリフォルニア州の55票がマルっとバイデン氏に入ることになります。コレを書いている今現在でカリフォルニア州の得票率は、バイデン氏65%トランプ氏32%となってますので、バイデン氏優勢には違いありませんが、コレが55対0になっちゃうのはなかなかですよね。実際、前回の2016年大統領選でヒラリー・クリントン氏が得票数でトランプ氏を280万票あまり上回ったのに、大統領選挙人の数で74人の差をつけられて敗退てますしね。中には、国民の票を1票でも多く獲得した人が大統領になるべきとの意見を言う人もいるみたいですけど、未だにこのような制度を採用しているところには、アメリカ合衆国の成り立ちと歴史の中で培われた「アメリカ大統領は各州の代表が投票で決める」という原則が生きているってことでしょうね。
いかがだったでしょうか?本当は書きたいことはもっとたくさんあるのですが、今日はこれくらいにしておきたいと思います。
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