新しい自民党総裁が菅義偉氏に決定しましたね。中3生は、公民に入ってますからこの機会に日本の政治システムを勉強しておきたいですね。
再度確認。昨日、菅氏は自民党総裁に選出されました。安倍総理が辞任を表明した8月末から、マスコミが取り上げていたのは、自民党という一政党のトップを選ぶ『自民党総裁選』だったんですね。決して新しい総理大臣を選ぶ戦いではありません。じゃあ、たかだか一政党のトップを選ぶ戦いが、それほど注目されるのでしょうね。
理由は、日本が『議院内閣制』を採用しているからです。アメリカと違い、日本では国家のリーダーである総理大臣を選ぶ「選挙」は行われません。日本の制度では、総理大臣は国会議員の中から国会議員の議決で指名されます。
日本の制度では、総理大臣は国会議員の中から国会議員の議決で指名されるわけですから、最も国会議員の多い政党のトップに選ばれると、ほぼ自動的に総理大臣に選出されるんですね。「ほぼ」と書いたのは、総理大臣の選出は多数決ですから、多数党であっても過半数(半数+1)がないと、選出されない可能性はありますね。実際に1度起こってます。
さらに言うと、日本は『二院制』で、国会には『衆議院』と『参議院』があります。それぞれ別々に、議決を取るんですが、衆参の意見が割れた場合、衆議院の議決を優先する(衆議院の優越)というのがあります。ですから、最も多くの衆議院議員を抱える政党(ただし過半数以上を持つ)のリーダー=総理大臣ということになります。それが現在、安倍総理のいる自由民主党なんですね。だから、安倍総理の後釜として自民党総裁に選出された人が、総理大臣になる可能性が限りなく高いんです。ってなわけで、大注目の自民党総裁選だったんですよ。
河野洋平氏が総裁の時は、自民党は第一党でした。しかしながら過半数は持ってなかったんですね。先程書いた第一党なのに総理を出せなかった唯一の例外パターンです。この時は、大変な事が起こったんですね。1955年から続いた自民党政権を潰すべく、なんと日本新党・新生党・新党さきがけ・社会党・公明党・民社党・社会民主連合の7党に、参議院院内会派の民主改革連合を加えた8党派からなる細川護熙『連立政権』が誕生しました。(連立政権とは2つ以上の政党が協力して政権を担当することです。)そもそも、国政に関して意見の似た者が集まった集団が政党な訳ですから、8党派も集まれば意見はバラバラですね。当然長く持つことはなく短命の政権となりました。その後、自民党は仇敵社民党に総理の椅子を譲ることまでして、連立政権の一端を担う形で与党の座へ復帰します。
そしてもう一人の谷垣禎一氏が総裁になったのは、自民党が衆院選で大敗し、民主党への政権交代が起こった時ですね。実質、総理になれないことが決定的な、「ハズレ」総裁の座をあえて受けた人ですね。
いかがだったでしょうか。「社会=暗記」って感覚の子も多いと思いますが、問題なのは、その覚え方です。単純に用語だけ暗記すればいいと思ってる子は、なかなかうまくいかないと思います。用語は、もちろん覚える必要がありますが、その意味だったり、そのことで起こることとの関連性や因果も含めて理解しないと、使える知識とは言い難い状況です。このタイミングで首相が辞任し自民党総裁選、そしてもしかすると10月11月あたりに衆院選まで(?)って状況ですから、なーんも無い無風の年に比べたらラッキーですよ。教科書に書いてあることが、目の前で実際に起こるんですから、断然理解しやすいですからね。この機会にぜひぜひ勉強してみてください。
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