当然のことながら、子供は理屈が苦手です。こちらが「これくらいは分かるだろ。」と思ったことも、なかなか一度では分かっちゃくれません。正直、このまま丸暗記させた方が早いだろうなって思うことも多々あります。子供たちも面倒で分からない理屈よりは、端的で分かりやすい丸暗記の方がいいと思ってるかもしれませんね。
そりゃあ、丸暗記の方がその場は断然楽です。しかしながら、覚えられる量やペースには、さすがに限界があります。それに記憶というものは時間と共に消失していくものです。その場しのぎのテスト勉強ならそれでもいいんでしょうが、そんなものは彼らの血肉になったとはとても言えません。だから、指導する立場の人間は、できる限り理屈で伝えていかなきゃならないのだと思うんです。
子供たち自身は楽ですから、理屈を抜きにした丸暗記に走りがちです。(実際には理屈を理解した方が汎用性も高いですし、忘れることもありませんから断然楽なんですが、それは長い目で見た場合の話。それが子供たちにとっては、難しいんでしょうね。)しかし、それじゃあいつまでたっても理屈を理解できるようにはなりませんし、そもそも理屈を理解しながら進むことの重要性に気づきません。そして、理屈を考えないということは、そのまんま「考えない」ってことなんですよね。
もちろん目先の点数や順位を求めて努力することは悪いことでは無いのですが、そればかりが先行しちゃうと「理解するより覚えちゃった方が早い」ってなっちゃうと思うんです。そしてそれを学生の間、反復し続ければどうなるか。社会に出るころには、「考えるより覚えちゃう」がもはや習性になってしまいます。実際、中学生の多くはそれに近いですからね。勉強の仕方そのものがそっちにカスタマイズされた子がなんと多いことか。
「指示待ち族」なんて言葉が一時もてはやされましたが、これぞ「暗記」に近い行いだと思うんです。現状や周囲の状況を理解し、筋道だって考え、今自分がやるべきことってのに辿り着けないんですね。本人には「考えていない」気なんてサラサラ無いのでしょうが、考えられないんですね。
学生の期間というのは、社会に出るための準備期間です。社会に出て困らないように色々な武器を身につけなきゃいけない期間です。その武器を身につけるためのステージがいわゆる「勉強」を中心としてるだけなんですよね。何を学んできたかよりも、どう学んできたかってところが、武器に直結するところだと思います。
コメント