『試行錯誤』ってやろうと思って簡単にできるもんじゃない。それは小学生を見てるとよく分かる。ウチは小学生に思考力系のパズルみたいなのをやらせてる。学校では習わないケド、ちゃんと筋道立てて考えれば、十分解ける問題。そういうのを徐々にレベルを引き上げながら取り組ませている。
大半の子は、問題を読んですんなり解き方を思いつけないような難易度になってくると、最初は解くことを放棄する。体感で8割くらいじゃないかな。ものの3分と考えられない。グチャっと潰れた姿勢になってみたり、落書きを始めたり、ペンを置いてしまったり、降参のポーズに入る。答えを出すには実際に数えていくしかないような問題、順々に一つずつ当てはめてみて可能性を潰していくしかない問題、そんな問題もピクリとも手が動かない。
「これは数えるしかないよ」「これは1つずつ当てはめていくしかないよ」そんな声掛けをしても最初はなかなか動けない。
1回30分に満たないくらいの時間をこのパズルに割いているが、2、3日はそのまま放置したりもする。本人が数える気になりさえすれば解けるので、正直教えることなんて何もない。気長に待つ。(この辺は小学生だからできる。受験の控える中学生にはそんな余裕はない。そういう点でも小学生からお預け頂けるのはありがたい。)最終的に、どうにも手が動かないときは一緒に数える方向に持っていく。そんな問題に何度かぶち当たるうちに、自然と数えたり試行錯誤ができるようになってくる。
この「試行錯誤できる」って勉強するにあたって非常に大事な能力だと思う。
小学生の間は試行錯誤するまでもないような問題ばかりかもしれないが、中学、高校と上の学校に上がるごとに、そういう問題は増えていく。方程式では何を文字(x)で置くのか、問題のどの部分を利用しどういう式を立てるか、図形では、どこに補助線を引くのか、どういう風に図形を切り分けるか、試行錯誤の中でゴールにたどり着く道を探すしかない。しかし、問題文中の数字をソレっぽい式に適当に当てはめてみたり、与えられた例題や解説をそのままマネすることで乗り切ろうとする子が多い。
小学生と同じように一緒に数えたり、図を描いてみたりしても、中学生ともなるとなかなか改善されていかない。「解説読んで分かったつもりで進めてもしょうがない。自分でアレコレ試して試行錯誤しなさい。」といってところで、最初に書いた通り、試行錯誤はやろうと思って簡単にやれることではないのだ。「習慣」として無いもの作り出すのはやはり時間がかかる。
「センス」って呼ばれてるものの大半は、この試行錯誤の習慣の中で、最適な解法を素早く的確に選択できるようになっただけじゃないかって気がしてる。
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