
「どうやったら覚えられますか?」
生徒からの学習法に関する質問第1位はコレだ。
期待させるのもアレなので、先に書いておく。楽して簡単に覚えられる方法なんて無い。それなりの労力は必要だ。
では本題。
楽して簡単にとは…
よーく考えて欲しい。例えば芸能人の名前や、好きな歌の歌詞など覚えるのに苦労しただろうか?割と簡単に頭に入ったのではないだろうか。それは何故だろう?答えは単純だ。「それは興味があったから。」興味があったからソレに触れている時間が苦になっていない。それに対し、勉強に関しては英単語でも歴史の人物名でも、さほど興味はない。だから触れている時間が苦痛に近い。すごく苦しんで覚えている気がする。苦しい思いをしても覚えられていない気がする。ただそれだけの話。

人の記憶のメカニズム
人の記憶には2つある。短期記憶と長期記憶だ。
短期記憶
短期記憶とは、時間が経つとすぐに忘れてしまうもの。この記憶の容量には限界があり、短期記憶で一度に保持できる量は5個から10個程度と言われている。
短期記憶はたったの10個程度。これでは困る。だから、人は「情報のかたまり(チャンクという)」を作ろうとする。例えば、歴史の勉強で年号を覚えるとき、平安遷都を「鳴くよ(794)うぐいす平安京」のようにかたまりに(チャンキング)して覚えれば、794年という3つの数字の並びが1個のかたまり(チャンク)にできる。他にも、覚える事柄をイメージ化(画像化)してみたり、似通ったものを合わせてみたり、「かたまり」にして覚えることが有用だ。
長期記憶
短期記憶で保持できる情報の容量は極めて小さい。よほど興味を引くもの、印象深いものでもないかぎり、すぐに忘れ去られてしまう。短期記憶を「長期記憶」にする必要がある。長期記憶は非常に大容量で、一度定着すると、脳が健在である限り半永久的なものと考えられている。
長期記憶へとつながる道はたったの2つ。
感情を伴う鮮烈な印象
1つ目が感情などを伴う印象が強烈なもの。これは重要なものとして短期記憶から長期記憶へと定着する可能性が高くなる。小さいときの記憶は歳を重ねるごとに無くなっていってしまうが、面白かった場面、悲しかったこと、そういう思い出はずっと残っている。そういうものは、感情を伴った鮮烈な印象が長期記憶に保管されているということだ。普段の夕食は3日経てば忘れてしまうが、自分の誕生日の外食やおいしかった店や料理は忘れない。それは嬉しい・楽しい・感激といった感情とセットになっているからだ。
・・・しかし、残念ながらこれは学習に当てはめるのは難しい。1つの英単語に感情などあるハズが無い。歴史上の人物に思い入れなどある方が少ない。
反復による定着
幸か不幸か、遂に方法は1つに絞られた。それがもう1つの方法、反復学習だ。短期貯蔵庫に一時保存された情報を繰り返し復唱して記憶を強化する。これしか手はない。
ただし、ここにも1つポイントがある。短期記憶には実は2つある。1つは、ものの数秒~数十分で忘れてしまうチョー短いもの。そしてもう1つは、1か月程度は保存のきく、そこそこ長いもの。多くの子達が苦労して「覚えた」と言っているのは、この1ヶ月程度のそこそこ長い短期記憶に過ぎないのだ。テスト前に一生懸命勉強して覚えたものが、次のテストではきれいさっぱり消え去ってしまっている…そんな悲しい現象が起こるのは、これが原因だ。じゃあどうするか。話は簡単だ。1か月以内にもう一度記憶を強化して上げればいい。つまり短期間にバババババーっと勉強したところで、それはもってせいぜい1ヶ月の命。その間に再度使ってあげなくては長期記憶としての定着はしないということなのだ。
最後にまとめ ~どう覚えるか~
話をまとめよう。どうやったら覚えられるか。
最後に
最後に1つだけ。「よしやってみよう!」と思っても挫折してしまう子には、いくつかの傾向がある。1つは「最初の計画が無謀」なこと。「毎日単語50個を読み書き意味全部覚える!」と言えば高い目標を立てて聞こえはいいが、そんなことは続かない。最初は読みだけ50個でいいじゃないか。すこーし頑張ればできそうな目標でいいじゃないか。無理は続かない。
そしてもう1つは、例外が多いこと。「毎日単語50個を読読めるようにする!」でも「毎日計算1ページ」でもいいが、目標を立てても、「今日は部活で遅くなったから…」「今日はちょっと熱っぽいから…」と何かと理由付けして例外の日を作ってしまう。そこから例外の日は通常になり、いつの間にか勉強する日が例外になってしまう。という訳で個人的に追加しておきたいポイント2つ
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