昨日に引き続き
与えられたもの全てをこなす必要はない
コレ、中学生だと何の疑いも無く実践する子が多いのだが、学校や塾から出された宿題や課題を全てこなすことが、当然と思っている。当然、その全てに目を通す必要はあろうが、全員が全員、全ての問題に対応できるわけがない。
対象を個人ではなく多数とする「宿題・課題」と呼ばれるものは、その集団の平均をターゲットとして出されることが多い。かなり緻密に狙って作ったとしても、10人以上に満遍なく効果のある宿題というのは難しい。ましてや、定期テスト時に課される提出課題は、問題集のページ指定が多い。つまりそれは範囲指定に過ぎないのだ。「全部自力でやりなさい」ではなく「全部テスト範囲です。目を通しておきなさい。」なのだ。
だから本来は、その中から実力に合わせて取捨選択する必要性があるのだ。30点しか取れない子と、60点くらいの子と、100点を狙っている子で、やる必要のあることが同じな訳がない。基本的な計算もままならない子が、応用問題に頭をひねったところで、効果は薄い。よく生徒たちに言う例えだが、跳び箱跳べない子が、いきなり10段に挑戦しているようなものだ。まずは、助走から踏切、手のつき方、その後の体の動き、これらがしっかり身について低いものなら難なく跳べる状態になって初めて高いものに挑戦すべきだ。
そして、この辺りの考え方を応用すると、問題集を前から順に解き進めるのがもったいないことが分かる。通常、定期テストには、どの科目であっても2つ3つの単元は範囲に入ってくる。にもかかわらず、前から順々に問題集を解き進めるとどうなるか。
単元①基礎→単元①標準→単元①応用→単元①まとめ→単元②基礎→単元②標準→単元②応用→単元②まとめ・・・
間に応用やまとめと言った誰もが苦労する、時間のかかるものが入ってくる、結果としては単元②の基礎辺りでタイムアップになったり、残り時間を考えてオキテ破りの「忍法解答写し」に走ったりする。
単元①基礎→単元②基礎→単元①標準→単元②標準→単元①応用→単元②応用→(最終確認としてテスト直前に)単元①まとめ→単元②まとめ
こうやれば、易しいものはしっかりと時間をかけて身につけることが出来る。そして単元の往復によって自然と復習している形になる。課題を終わらせる意識の強い余り、一日で同じ科目を何十ページと解き進める子がいるが、それだとテストまでに忘れてしまわないだろうか。同じような問題の繰り返しだったからできていたということはないだろうか。テスト前の手ごたえは上々なのに、テストになると意外とできない、なんて子はこの辺りが原因になっていそうである。テストまでに忘れちゃっていたり、できてるつもりなだけだったり…
これは個人的な意見として読んでいただきたいが、「忍法解答写し」自体を僕は悪いことだとは思わない。自分の力の範疇外のことはやむを得ないことだ。しかし、時間があってやってさえいればできたようなところまで「忍法解答写し」で済ますことになったのがよくない。そもそもの話だが、学校の先生だって、生徒たちが「忍法解答写し」をやっていることには気付いているはずだ。だってテスト本番で平均点を下回るような子が、問題集では応用まで手をつけてる、しかもマルがついてる…えっ????である。気づかない方がどうかしてる。そういう意味では、学校の先生だって公に「分からないものは答えを写していい」とは言えないまでも、暗に認めているのではないだろうか。学校の先生も大変である。仮に公に「自力でどうしても分からないものは答えを写していい」と言えば、家でも「先生が写していいと言った。」と責任を押し付け、サボる子だって出てくるはずだ。そういう子のために、手抜きのできないごく真面目な子らにも、そう言ってあげられないのである。
少々、話は逸れてしまったが、今日のまとめ。
与えられたものは全て隅から隅までやる必要はない。自分の実力に合わせて取捨選択する必要がある。と同時に時間制限(テストの日程は決まっている)のあるものなので、優先順位付けは必須。これらの点に関しては、最初から完璧になんてできない。「これまでやっておけばよかった。」「これは飛ばしておくべきだった。」「こっちを先にやっておくべきだった。」はたくさん出てくるだろう。それでも、何も考えることなく前から順に解いてるよりは100倍マシ。
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